こんにちは🌞診療放射線技師の落合です。無事にディヴィット・ベッカムと共々、5/2の誕生日を迎えることが出来ました。この日のタイガースは広島に勝利し、背番号8佐藤輝明選手は四番サード(背番号3の大山選手は完全休養のため欠場)でライトスタンド中段に満塁ホームランの祝砲を打(撃)ってくれて大変嬉しく思いました(それにしても佐藤選手は凄いですね。Zマークも、四番も、板に付いてきました。本当にモンスター級の驚異的な選手デス)。
しかしながら、喜びは半分。と言いますのも、誕生日前日の5/1の大阪の感染者数は1262人の過去最高記録を更新し、5/2の夜のNHKスペシャルを視聴して衝撃を受けたからです。大阪の医療危機(ドキュメンタリーでは、三次救急の搬送時間の長時間化、コロナ以外の疾患の手術の遅延化、重症病床数逼迫のため搬送先を見つけることが出来ない結果としてのコロナ重症者の自宅待機、自宅で療養中の急変、またもや搬送先が見つからないまま救急車内での心配停止、を取り上げていました)はかなり深刻です。コロナ変異株について再考を余儀なくされました。さらに5/11までとされていた緊急事態宣言(スペイン🇪🇸は5/9に解除し、国内移動が自由になるそうで、イギリス🇬🇧は5/17から海外旅行が解禁されるそうです。やはりワクチン接種がある程度進行すると状況も大きく変わりますね。他方で感染拡大が続く中でも5/9に対独戦勝の軍事パレード、モスクワ🕌の赤の広場では12000以上が参加した、を各地で強行したロシア🇷🇺のような国もあり、さらにデリー首都圏のロックダウン=都市封鎖を5/17早朝まで延長するインド🇮🇳のような国もあります)は5/31迄に延長されて5/8の東京の感染者数は1121人(5/9は1032人、2日連続1000人超え)となり遂に1000人を突破して大阪の1021人(その内重症者は5/4の過去最高記録449人に迫る406人、勿論、稼働可能なICUのベッド🛏数を遥かに超えている、医療崩壊状態です。5/8の死亡数は5/7の過去最高記録50人に迫る41人!感染者の人口比死亡率は1400000000人のインド🇮🇳の4187人よりも8820000人の大阪の方が高い!もっとも、人口25000000人の首都ニューデリーでは連日300人超がコロナにより死亡しているそうですが、状態です、5/9は874人、死亡数は19人)と合わせて喜ばしくない東西揃い踏みとなりました(国内の重症者は過去最高の1144人です)。報道では原因は変異株の強い感染力とコロナ慣れ、コロナ疲れによるコロナ対策の緩(弛)みだとされていました。
原因はそれだけなのでしょうか?アメリカ🇺🇸海兵隊の新兵対象に為された研究論文によれば血清抗体が陽性だった(ワクチンの接種を一度も行っていないコロナ感染者)189人中19人がPCR検査(DNAの特定領域をDNAポリメラーゼによってポリメラーゼ連鎖反応を起こすことにより指数関数的に増幅させることで必要な量を確保して行う遺伝子解析技術。信頼性は70%程度と言われる)の結果陽性となったそうです。既感染者が再感染した場合はその中の84%が無症状ではあるが鼻腔内のウイルス🦠量は新規感染者と大差がないとのことがないとのことです。このような無症状の再感染者である若者は活動範囲も広いことからウイルス🦠伝播の主要経路となっている可能性を米国🇺🇸の専門家は指摘しています。変異株の場合はより再感染しやすい(従来型の抗体陽性者は特に)のではないでしょうか?無症状の感染者程、感染防止の観点から考察した場合に恐ろしいものは他にありません(咳やくしゃみをしていないので、こちらも無警戒で対応してしまいます)。夜間の路上での若者の飲み会(一蜜=密接)増加(飲食店の営業自粛を厳格化すればするほど増えていくそうです)傾向が顕著であるとニュースで声高に叫ばれる度に不安感を覚えるのは私だけではないでしょう。
私は、本院のコロナ情報担当係という訳ではありませんが、受け付けに立っていると物知り博士のように思われているのか、コロナに関するニュースについてよく聞かれます。という訳で私が調べた範囲内で私独自の解釈を持ってお答え致しようと思った次第です。また、いつも私のブログを読んでくださる二、三の熱心で、かつ手厳しいご意見をくださる読者たる患者の皆様からも御質問(コロナ治療薬を教えろ!)、御意見(インド🇮🇳株、二つの変異株しか書いてねぇぞ!)を複数いただきましたのでそれに関しても早速お答えし、変異株対策についてもう一度考えてみることに致したい、と思います。
1、インド🇮🇳株(B.1.617)とは何か?
当初は、インド🇮🇳細胞分子生物学研究所がN440K変異株(スパイクタンパク質の440番がN=アスパラギンからK=リシンに変異している)の脅威を訴えていましたが、今は殆どB.1.617に置き換わっているそうです。
スパイクタンパク質に抗体の働きを低下させる可能性のある三つ変異(L452R、E484Q、P681R)を持った三重変異株です。スパイクタンパク質の452番目のアミノ酸がL(ロイシン)からR(アルギニン)に、484番目がE(グルタミン酸)からQ(グルタミン)に、681番目がP(プロリン)からR(アルギニン)に置換しています。L452Rはカリフォルニア変異株(B.1.429=CAL20C)も持っていて、カリフォルニアに感染爆発🤯を引き起こしました。E484Qは東京での感染拡大の現時点での変異株の主役(N501Yに遷移しつつある。沖縄県ではN501Yが約60%、E484Kが約40%で、二つの変異株が勢力争いをしている状況だ、そうです)である免疫逃避型と言われているE484Kと似ている点が私としては気掛かりですが、現時点では何もわかっていません。WHOは【注目すべき変異株】に指定しました。イングランド🏴公衆衛生庁のよれば、インド🇮🇳型変異株(三種類)の内、B1.617.2が一番感染力が強いそうです(L 452Rはありますが、E 484Qは無い)。イングランド🏴公衆衛生大学院はB.617.2を感染を懸念するべき変異ウイルス🦠に指定しています。
4/26に会見で政府は21件(20件は空港検疫、1件は国内で)のインド🇮🇳株が確認されたと発表しています。それとは別に5/7には東京都内で5人の感染者が確認(その内の1人は渡航歴が無い)されました。空港検疫で阻止しなければいけないと前回に書きましたが、既に国内に入ってきています。もう手遅れかもしれません。イギリス🇬🇧型のときも、パイロットの感染者が空港検疫を擦り抜けて(パイロットに空港検疫の義務はないとのこと、こんなことでいいのでしょうか?)入ってきていました(インド🇮🇳からの帰国者は陰性証明書を持っていても帰国後に陽性となる確率が他国の10倍以上だそうです)。政府は5/1から【変異株流行国】に指定しましたが、時、既に遅し、のようです(そもそも、日本🇯🇵では、検疫法により、明確な感染者である陽性者である場合でないと入国後14日間の強制隔離は出来ません。5/9に厚生労働省が発表した6日から8日にかけて海外から到着した、インド🇮🇳約バングラデシュ🇧🇩で行動歴がある、4人はいずれも無症状の陽性だったそうですから、入国後14日間の強制隔離されている筈です)。インドの感染爆発🤯(サファリパークのライオン🦁2頭も陽性反応)の現況を鑑みるならば、イギリス🇬🇧型同様の強い感染力を有していると考えられ、N501Y(スパイクタンパク質の501番目のアミノ酸がN=アスパラギンからY=チロシンに置換している)のような指数関数を超える感染急拡大を引き起こす可能性が危惧されます(致死率は従来型の1.3から1.9あると言われている)。N501Y変異株の感染(第四波)を収束(終息)させても第五波が起こり得ることを心配することが杞憂に終われば良いのですが・・・
2、N501Yは何故感染力が強いのか?
5/1のNスペによれば変異を経たスパイクタンパク質がヒトの細胞膜にあるACE2(アンジオテンシン変換酵素2)を受容体として結合する力は従来型と比較して5倍強いそうです。スパイクタンパク質のACE2との結合部(RBD=受容体結合ドメイン)が摩擦し(引っ掛かり)やすい形状、あるいは強い結合作用を有するものに変異している可能性がある、とのことでした。番組内のモデリングでは喉や鼻腔や気道の細胞表面のACE2に従来型は殆んど結合することなくウイルス🦠が流れ去っていましたが、変異型のウイルス🦠は時折り引っ掛かっていました。故に従来型ではあまり感染しなかった子供の感染が増加しています。変異株感染者の体内には従来型の3倍以上のウイルス🦠が存在するそうで、基礎疾患のない若者の重症化の原因だと指摘されていました。もしも、電話️ボックスに(感染者と)二人だけで閉じ込められたとしたら、お互いが医療用N95を装着していても、変異株ならば、感染するのかもしれません。
カナダ🇨🇦のブリティッシュコロンビア大学の研究チームはN501Yのスパイクタンパク質とACE2を結合させた後、凍結してクライオ電子顕微鏡を用いてそれを観察し、N501YのY=チロシンがACE 2のアミノ酸、YのチロシンとK=リシンの間に入り込んで結合していることを突き止めました。Y=チロシンにはベンゼン環(炭素原子が六角形に並んでいる)があり、ベンゼン環同士が互いに引き合って変異前以上の強い結合力を生じさせていると推測していました。
3、免疫とは
元来は、疫から免れる、伝染病から逃れることです。転じて、一度罹患した病気に二度目は罹患し難いこと【免疫記憶】のことを指します。【免疫記憶】の機序は、抗原に出会う前のナイーブT細胞が抗原を取り込んだ樹状細胞(免疫細胞である白血球の単球が分化したもの)により活性化され、増殖し、エフェクターT細胞(ⅰ ヘルパーT細胞、ⅱ キラーT細胞)となり、病原体を攻撃し、その後感染が収まると多くのエフェクターT細胞は死ぬことになりますが、一部は抗原を記憶しているメモリーT細胞となりリンパ節で長期に渡って生き続け、次に同じ異物、病原体が侵入した場合は迅速に反応します。この機序によって【免疫記憶】は実現されます。現在では免疫とはより広範囲に生体防御システム全体を指しますが、生体防御システムたる免疫には自然免疫と獲得免疫があります。自然免疫、獲得免疫、免疫記憶の順序で進行します。免疫記憶のシステムを利用したものがワクチン(通常は弱毒、無毒化したウイルス🦠である抗原、mRNAワクチンであるファイザー製の場合はスパイクタンパク質をコードする(設計図となる)mRNA、を宿主細胞内に送達して、新型コロナウイルス🦠のスパイクタンパク質を発現させるとこれに対する中和抗体型産生され、細胞性免疫応答も誘導される。免疫を獲得する手段に用いる医薬品)です。
現時点で厚生労働省に承認されているのはファイザー製(発症予防効果95%)の『コミナティ』、コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチンだけです(発症予防効果94.1%のモデルナ製もウイルスの断片であるエピトープ=mRNAを注射針で筋肉、上腕の三角筋内に入れる手法は同じで、モデルナアームという接種後5日から9日に注射した箇所に赤い発疹が生じる症状、3日から4日で収まり健康に害は無い、が接種を受けた者の95%に起こり、注射部位の疼痛、接種した部位である上腕が疼痛を伴って腫れ上がることもある、ファイザー製よりも10%程多く、2回目の悪寒の発生率が40%と22.7%のファイザー製よりも高い、副反応、他に頭痛や関節痛や筋肉痛や発熱🥵や倦怠感がある、の発生頻度がファイザー製よりもやや高く、山中伸弥教授はファイザー製同様にイギリス🇬🇧変異株にも有効性が認められたとブログに書いていています。ファイザー製は半年後の有効性が91.3%でモデルナ製は95%以上だと発表されています。2回目の接種後に一定期間、4週間、空けて、3回目を追加接種するとE484Kを持つ南アフリカ🇿🇦型やブラジル🇧🇷型でイギリス🇬🇧型でE484Kを持つタイプにも有効性が確認された(中和抗体が増加した)とも発表されています。ウイルス🦠感染を防ぐ力である血清中和性はファイザー製同様に感染からの回復者よりも強いとも書いています。モデルナ社によるアメリカ🇺🇸で行われた12歳から17歳の臨床試験では有効性96%と発表されたモデルナ製も近日中に承認されるそうです。5000人規模の大阪の大規模接種会場と10000人規模の東京の大規模接種会場で使用予定だそうです。ファイザー製を保管するには零下75度前後にする必要があり、そのための超低温冷蔵庫を稼働させ無くてはならず大規模電源が必要条件となりますが、モデルナ製は零下20度前後でよく、通常電源設備で足りるということが採用された理由だそうです)。1回目の接触から3週間の間隔で2回目の接種をする必要があります。予防効果がどれぐらい持続するのか、未だわかっていません。190万人の初回投与の中で重度のアレルギー反応は175例でその内アナフィラキシーは21例です。厚生労働省によれば2/17から4/22までに2517045回の接種の内、アナフィラキシーは94件(1回目にアナフィラキシーが出た人は原則として2回目を打つことが出来ない。ワクチンの効果は1回分だけとなる)、言い換えますと1000000回に37件起こる確率です。アナフィラキシーになると、免疫細胞からヒスタミンという化学物質が放出され、その作用(気管支を取り囲む筋肉である平滑筋を収縮させるので呼吸も苦しくなり、呼吸困難に陥る)で血液中の液体成分である血漿が血管外へ大量に漏れ出します。その結果、血液量が著しく減少して大量出血と同様に血圧が急激に下降して、意識レベルが同じく急激に低下するそうです(時に気絶する)。
ワクチンのmRNAの崩壊を防ぐためにスパイクタンパク質をコードするmRNAをポリエチレングリコール(モデルナ製でも使用されている。アストラゼネカ製は使用されていないが、ポリソルベート80が添加されている)という脂質ナノ粒子でその周囲を包んで(封入して)いますが、これがアナフィラキシーの原因と言われています。アナフィラキシーの症例の殆んどは女性ですが、ポリエチレングリコールが化粧品やハンドクリームに含まれているので、女性は皮膚から吸収されたポリエチレングリコールによってこの物質に対する免疫システムが確立しており、接種による高濃度のポリエチレングリコールに過剰反応している、と考えられています。インフルエンザが1000000回に1.3のアナフィラキシー発生頻度であることと比較するならば37回はちょっと多いような気がします。もっとも、94例の事後の経過は、その内の47例が回復(有害事象が消失する)し、43例が軽快(完全には回復していないが、ほぼ元の状態に戻る)し、3例だけが未回復(有害事象が継続中)だということです(不明が1例)。
注射後のアナフィラキシーに対する初期対応(30分の待機中)としてアドレナリンを大腿部に注射します。さらに漏れ出た大量の血漿は短時間では元に戻らないので生理食塩水を点滴したり、ヒスタミンの作用を抑制するためにヒスタミンH 1受容体拮抗薬を服用することもあります(高血圧や不整脈の治療を受けてβ遮断薬を服用している場合はグルカゴンを点滴する)。接種会場にはそれらの対応を可能にする器具があり、スタッフが揃っているとのことです(薬で症状をコントロール出来ない喘息発作が頻繁に起こる人は喘息が重症化する可能性があるので、かかる場合にも対応出来る医療機関での接種が望ましい)。
変異株による若年感染者の重症化や死亡率の上昇や従来型から継続して警鐘(アラーム🛎)が鳴らされている(鳴りっぱなしの)脳動脈🧠(そこにもACE2はある)に飛んだウイルス🦠、あるいは血栓による後遺症(新型コロナに感染するとその後に完全回復をすることが出来ない人が少数ながら存在する)、認知機能障害を生じさせるブレインフォグ(明確な意識で思考することが出来ない症例)や回復後3か月でも肺を固くさせる線維化や血栓や息苦しさが残るコロナ肺炎や大量の脱毛等と比較考量(衡量)してみれば、やはり接種はするべきと私は思います(前回の繰り返しになりますが、私は、絶対に受けます)。
❶ⅰ 身体に侵入した異物(細菌等の病原体)やウイルス🦠感染細胞を食細胞(マクロファージ、樹状細胞)が捕食し(自らの細胞に取り込んで死滅させる)、巨大なマクロファージ(白血球の単球が分化したもの)から伝達された救援信号を受け取った好中球(味方すら傷害する非常に攻撃的な細胞のため5日後に自死するようにプログラムされている)がそこに集合して攻撃する。ⅱ 癌細胞やウイルス🦠感染細胞をNK(ナチュラルキラー)細胞が傷害します【自然免疫】。❷細胞内に侵入した病原体(血液中に侵入した小さな病原体)に感染した細胞の死後、病原体やその破片を樹状細胞が取り込み、その情報をリンパでヘルパーT細胞(消耗の激しいB細胞やマクロファージを長く戦えるように支援するのでこの名が付いた)とキラーT細胞に伝達する。ヘルパーT細胞はB細胞(T細胞を介さずに単独でもB細胞レセプターによって認識できる)に抗体を産生するように指令を出し(抗体は細菌と結合後に補体と次々に結合して膜侵襲複合体となり血液中に侵入し、溶けて流れている小さな細菌の細胞膜に結合して穴を開けて破壊します)、キラーT細胞は感染した細胞を探索して殺します【獲得免疫】。
獲得免疫の免疫反応は一次リンパ組織である骨髄や胸腺で作られて、出された免疫反応の司令官たるT細胞やB細胞が二次リンパ組織であるリンパ節や脾臓で出会うことによって、引き起こされます。
4、抗体(免疫グロブリン)とは
特定のタンパク質である抗原に(抗原レセプターによって)特異的に(その抗原にだけに)反応する(抗原抗体反応)タンパク質(糖タンパク分子)です【抗原特異性】。つまりウイルス🦠が狙い撃ち出来る訳です。ひとまとめに白血球と呼ばれるリンパ球(他に大きく分けて四つ、単球・好中球・好酸球・好塩基球、がある)の一種である骨髄(一次リンパ組織)にある造血幹細胞で作られます❶B細胞(異なる抗原と反応する何十万、何百万種類が用意されています。抗原レセプター遺伝子を切断し、繋ぎ合わせる遺伝子再構成によって、それが可能となります。一次リンパ組織である胸腺で作られるT細胞も同様)によって抗原をB細胞レセプターが直接認識してからT細胞を活性化させるか、❷T細胞(リンパ球)のT細胞レセプターが抗原提示細胞が出すMHC分子とその上に載せてある抗原をワンセットで認識して(自分自身を攻撃する自己反応性細胞は自己抗原とMHCのセットにT細胞レセプターがぴったりと結合することによって生じる強い刺激によって死にます【負の選択】、樹状細胞も【負の選択】への誘導可能でしょう。適度に自己抗原と反応する【正の選択】を経た結果、自己を攻撃しません、【自己寛容】が実現される)からB細胞に指令を出すか、❶❷した後に抗体は超スピードで大量生産されます。特定のタンパク質たる抗原を認識してウイルス🦠や細菌などの異物たる病原体を排除するためのものです。血液や体液中に存在します。
抗体の働きとは以下の四つ《❶抗原の周囲を取り囲んで中和化(ウイルス🦠の場合はヒトの細胞の受容体と結合出来なくなる。つまりは細胞内に侵入出来なくなる)する。❷侵入したウイルス🦠や細菌などの病原体にマーキングし、それを目印にしてウイルス🦠に侵入した細胞や細菌をマクロファージが貪食しやすくする【オプソニン化】。❸ウイルス🦠に侵入された細胞や細菌に結合した後、次々と補体と連鎖反応して膜侵襲複合体を形成した後細胞膜に穴🕳を開けて、細胞を破壊する。❹炎症を誘発する(アレルギー性反応)。》です。
5、コロナ治療薬(特効薬)
現時点では、コロナに特化した治療薬はありません。安全性が確認された既存の治療薬から選択する、いわゆるドラッグ・リポジショニングが行われているだけです。
❶ナファモスタット、カモスタット
膵炎治療薬。コロナウイルス🦠の最外殻のエンベロープ(脂質二重層と外膜から成る)に突き刺さる棘であるスパイクタンパク質とACE2が結合して、ウイルス🦠が自身の遺伝子(ゲノム)をヒトの細胞に侵入を開始する際にスパイクタンパク質はFurin(ヒト由来のタンパク質分解酵素であるプロテアーゼ)によりS1とS2に切断され、S1はACE2と結合したままであるが、S2はTMPRSS2(ヒト細胞表面にあるセリンプロテアーゼ)によってさらに切断され、細胞膜と融合するのだが、この細胞膜融合を阻害する働きを有する。要するにこれによりウイルス🦠は細胞内への侵入することが出来なくなる。ナファモスタット(点滴静注薬)はカモスタット(経口薬)の1/10の量でそれを実現する。
❷レムデシビル
抗ウイルス薬。エボラ出血熱治療薬。1本鎖RNAウイルス🦠(エボラ出血熱を引き起こすウイルス🦠もコロナウイルス🦠も)に対して抗ウイルス活性(ウイルス🦠の増殖を抑制する)を有する。厚生労働省はコロナ治療薬として認可した(国内承認一例目)がWHOは効果を疑問視している。当初は使用される対象が人工呼吸器や人工心肺装置(ECMO)を付けた重症者に限られたが肺炎の中等症患者にも拡大される。
5日間の治療で6回投与した場合、およそ25万円かかる。
❸デキサメタゾン
重症感染症、重度の肺炎である間質性肺炎🫁の治療薬。ステロイド剤。人工呼吸器を装着しているか、酸素吸入を必要とする患者に有効とされる。国内承認二例目。
❹バリシチニブ
間接リウマチ治療薬。国内承認三例目。レムデシビルとの併用療法。
❺トシリズマブ、サリルマブ
サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害することで免疫抑制効果を有する。COVID-19が誘発するサイトカインストームと呼ばれる免疫系の暴走(サイトカインが過剰に作られる)により自らの細胞を攻撃するのを阻止し、炎症を抑制して、重篤な臓器障害🫀を引き起こすのを防ぎ重症化を食い止める効果が期待され、イギリス🇬🇧で使用される。
もっとも、免疫を抑制するとウイルス🦠の増殖も防げないという矛盾にも直面するため、抗ウイルス🦠剤であるレムデシビルとの併用療法が採られる。
❻バリシチニブ
サイトカインの刺激を伝達するJAK(ヤヌスキナーゼ)を阻害することでサイトカインストームを抑える効果を有する。トシリズマブ同様、レムデシビルと併用する。
❼ファビピラビル
抗インフルエンザ治療薬。富士フィルム富山化学が製造する。厚生労働省は現時点で効果を認めることは(投与した医師の先入観の影響が大きく)困難だとしている。
❽イベルメクチン
抗線虫薬、疥癬の治療薬として承認されている、経口駆虫薬。北里大が医師主導治験を行なっている。
❾中和抗体
抗体を人工的に作り、ウイルス🦠の細胞内での発症を阻害する。バブラニビマブ(エテセビマブと併用することもある)、カクテル抗体であるカシリビマブ/イムデビマブ。米FDAが緊急使用許可を出した。前アメリカ🇺🇸大統領ドナルド・トランプにも投与された。
抗体がウイルス🦠の抗原と結合することから感染を導く鍵穴となる危険性も指摘されている。
ⅹ クロミプラミン
抗鬱剤。ウイルス🦠の実験細胞への侵入を50%、レムデシビルとの併用でウイルス🦠の実験細胞での増殖を99%抑制する。実験データだけで臨床データはない。
ⅺ 特殊免疫グロブリン製剤
新型コロナウイルス🦠に感染し、回復した患者の抗体を集めて薬にしたもの。類似したものに回復者血漿治療がある(別の感染症に感染する危険性がある)。
以上、その他にもいろいろと試されていますが、どれも決定打とはなっていません。すなわち特効薬は未だ存在しないのです。
6、一密での感染例
❶少人数の大学生が河原(屋外)でBBQを行なった。密閉空間でも密集する程の人数もいなかったなかったが密接な距離にいた。マスクは着用していなかった。
❷参加者全員マスク着用の状態でソーシャルディスタンスを2メートル以上とって劇場という密閉空間(換気設備、窓無し)で演劇の稽古を劇団員(大学生だったかもしれない)が行なった。
以上の(NHKで報道された)二例は従来型(集合のベン図のように三つの輪が重なっている三密になることが十分条件だった)では考えられないことです。イギリス🇬🇧型変異株の感染力の強さを改めて認識する次第です
7、解題
コロナの話はもうこれぐらいにして、オー・ヘンリーの『甦った良心(改心)』の続きを語ります。9歳の姉のメイの突飛な悪戯によって最新式の金庫室に閉じ込められた5歳のアガサ。アダムスの静かに!という声によりアガサの泣き声だけが微かに聞こえる静寂の中でアナベルからラルフ何とかして!と頼まれたラルフはアナベルのドレスに付けていた薔薇が欲しいと答えます。怪訝な表情でそれを手渡すアナベル。ラルフはそれを無造作にチョッキのポケットに突っ込みます(その瞬間ラルフは全てを捨てた!)。さながら新しく生まれ変わった人間ラルフの非常に短い人生への餞(花向け)のように。皆にそこから下がるように合図すると上着🧥を脱ぎ捨て、チョッキの袖を捲り上げるとスーツケース🧳を開き自慢の七つ道具を丁寧に整然🪚とそこに並べます。ジミーには周囲のものはもう何も見えていないようで冷静な、かつ集中している表情に変わります。それでいて適度にリラックスもしていてイーロン・マスクのように低く口笛(時代が違いますがフランク・シナトラの『夜のストレンジャー』なんかが似合いそうです)を吹きながら手順よく作業を進めます。10分も経たない内(ラルフにとって最短記録!)に無事に(衰弱はしていましたが)アガサを助け出します。
一堂が安堵して喜んでいる姿を見ることもなく、アナベルのラルフ!と呼ぶ声にも振り向くこともなく玄関まで一直線に歩いて行きます。そこには大柄のプライスが立っていました。やあプライスの旦那、年貢の納め時です。全て見てた通りですよ!と逮捕を覚悟して両腕を突き出します。ここで驚くことが起こります。プライスは何のことです、スペンサーさん。誰かと人間違いしているのでは?と言い残すとそのままふらりと通りへと出て、そのまま何処へ、歩いて行ってしまいます。
その後、アナベルとラルフがどうなったのか?そこに書かれてはいません。宝塚がこれを歌劇として上演したそうですがどう演出したのでしょう。とにかく、ただ想像するしかないのです。
8、私の想像
フランツ・カフカに『流刑地にて』という小説があります。刑罰を執行する機械の物語で形式的な刑罰にこだわる官僚のような執行官が登場します。旅行者に機械や刑罰について説明するのですが、余りにも形式にこだわる余り、最後(最期)に自分の背中にこの機械で《正義を為(成)せ》と彫られて絶命します。プライスはこの執行官とは正反対でかかる選択、かかる行為によって実質的に《すべての罪は贖われた》と、《もう十分に償いは為(成)された》と判断したのでしょう。ラルフはもはや罰を受ける必要がない真っ当な人間であるのだ、と。プライスの眼はある意味で神の目です。神は言うでしょう、もう十分だと。
小林秀雄に『人形🪆』という評論があります。列車の食堂車で三組(四人、いや五人か)の人間がテーブルを囲んで食事をする様を描いています。一組の老夫婦の間には古くなって顔の塗粧が薄くなった等身大の人形が座らされていて、妻の方がスープをその口元に運んでいます。それをじっと見ている小林秀雄に夫の方が、どうも困ったことです、というように苦笑いを浮かべて軽く会釈します。隣の席の女子大生は料理を食べながら書物か、何かに目を落としており、ずっと無言です。そこにいた皆(おそらく人形は戦争🪖か何かで亡くなった大切な息子の代わりなのだろう。そのショックで妻だけは気が触れてしまったのかもしれないと小林秀雄は書いています)が事情をわかった上で静かな食事会🍽に参加していたのだと、それは只の人形だ、と誰かが喚いたりしたら、どうなっていたか?と書いています。アナベルもアダムスも行員を含めてメイとアガサ以外の誰もがラルフは元金庫破り(かもしれない。でも、まさかね、と思いつつも最終的には)だと気付いたことでしょう。けれども、誰一人事情がわかった上で、それを言い出す者はいない(命の恩人を疑うようなことを絶対に言ってはいけないという暗黙の了解がいつの間にやら形成された)のなら、時はきっと今迄と同じように流れて行くでしょう(メイもまた叱られることはないでしょう9歳ならばこの騒動を体験して充分に反省しているからです)。
あるいは、『罪と罰』のラスコールニコフの親友のラズミーヒンのようにお人好しで、(プライス以外の)一族、行員、全員皆、ラルフは手先が器用なだけだ、道具は靴🥿を作るのに必要なもので今回は無理矢理金庫破りに使っただけだと思っていた可能性もあります。
もっとも、そうだとしても、プライスを見送ってからどのようにラルフは皆の下(元の世界)に戻ることが出来るのか?罪の意識から気不味い思いをすることは確実です。いっそのこと、このまま馭者とリトルロックに行って何処かにおさらばして新しく生き直した方が気は楽かもしれません。しかし、そうすると、やがて、確実に、一番大事なアナベルを失った苦しみがやって来ます。それに、これ以上の幸せを掴むこと、即ち自分にピッタリの美しい女性を見つけることは出来ないように思われます。ラルフにとって最高の女性であるアナベル以上の女性に巡り合うことも不可能だと思われるからです。この場に踏み止まり、何とか皆に見直してもらうことが最善の策です。ラスコールニコフのように皆の前で大声で、罪を告白すべきでしょうか?たとえ、そうしたとしても、今後生きて行く上で気不味い思いを、払拭することは出来ないように思われます。それに、ハードボイルドのオー・ヘンリーの世界では、そう振る舞うのはダサい!どれは野暮というものです。
ここはアダムスに助けて貰いましょう。アガサの救出劇に感動した🥲アダムスはまずラルフにアガサを救出してくれたことへの感謝を述べて、その次に跡継ぎはラルフだと皆の前で宣言し、同時にアナベルの同意も確認します。ラルフにはイエスか、ノー以外の言葉を厳禁します(よって、ラルフは罪の告白が出来ない、つまり、告白させない。以後ずっと)。勿論、答えはYESに決まっています(Yes,I do.)。そして。七つ道具は友人には譲らずに銀行の壁にアガサの命を助けた証として飾ることとしましょう。
言うまでもありませんが、アナベルの気持ちは、勿論そんなことでは絶対に揺るぎません。これまでの犯罪を差し引いても今日のラルフが採った(正義を為/成した)行動は余りあるものでもあるからです。それからアナベルはこころから悔い改めて真っ当な人間として生きていく努力をしようとする者を赦/許せる聖母マリアの如く寛容なこころの持ち主だと思います。それよりも、何よりも、ジミー・ヴァレンタイン(こちらの方が善人の名前のような感じがする)はもうとっくの昔に絶命しており、ラルフ・スペンサー(こちらの名前の方が金庫破りという感じがする)として生まれ変わっていたのですから正しい人間が正しい行為をしただけのことです(それに元々、ラスコールニコフほどの凶悪性は無かった)。アナベルは真っ先にラルフに駆け寄って、ラルフをただ強く抱擁する🫂だけで、他には何も要りません(そうしてただひたすら泣くだけでいい)。
その後、アナベルとラルフの二人は同時に天に召される(どうして同時なのか?って?それはアナベルが100歳になったお祝いに、タイタニック号に乗船したからです。オー・ヘンリーの世界は運命的な偶然だらけですからね)までずっと愛し合い二人して幸せに暮らしました、とさ、メデタシ(愛でたし)、メデタシ(愛でたし)🤗もしも、映画化するならば 、ラストシーンに流れる曲は『私を月 に連れてって!』で決まりデス!映画『ララランド』のライアン・ゴズリングとエマ・ストーンのようにあるいは映画『惑星ソラリス』の無重力での主人公とその伴侶のように、アナベルもラルフも一番輝いていた若き日々の姿に戻って、その姿の二人の魂が星空で、惑星間で、火星で、お月 さまの周りで、くるくる360°回転しながらダンス🩰をして、キスする超現実的なSFチックなラストシーンを加えるのも、悪くありません(何とか、ハッピーエンド!)
9、実際には
お気に入りの信貴山には行かずに連休中、雨 ︎の日、夜は🌝オー・ヘンリーを読んで晴れ ️の日、昼🌞は近所にある法隆寺、少し離れた法輪寺、さらに遠い法起寺の三塔を巡るハイキングコースを散歩していました。
太陽🌞の光が降り注ぐ下、湖のように巨大な斑鳩溜池の8字型に作られた道の池を横断している部分にあるベンチに横になって目を瞑むり、寝そべって、ただ風(その日は大変に風が強かった)の音だけを聴いていました。暫くそうしているとある刹那に一瞬凪の状態になり、時が止まったような感覚になりました。自分が無となってしまった錯覚に陥って、このままこの感覚が持続すれば、無限♾を、宇宙を意識することが出来そうに思えた程です。我が、自分が遠退く(消失する)感覚ですね。再び風が吹いて暫時また風の音だけ聞いていると自分が風になった気がしました。どれくらい時が経ったのかわかりませんが、突然鳥🦅の甲高い鳴き声が一声(一鳴)して、はっとして我に帰り、周囲の緑を見て驚きました。ヴァン・ゴッホ(2005年の『夜のカフェテラス』、孤高の画家の原風景を鑑賞してからとても好きになりました)の晩年の(窓から見える)糸杉(キリストを磔にした十字架だと解釈されている。ゴッホ自身は弟のテオに当てた手紙 ️にエジプト🇪🇬のオベリスクのように糸杉は調和がとれているから心惹かれる、と書いています)を描いた絵🖼『夜のプロヴァンスの田舎道(糸杉と星🤩の見える道)』、あるいは『丘を抜ける道の二本のポプラ』(代表作と言われる有名な『ひまわり 』も強い生命力に溢れています。燃え上がる生命力の炎ですね)のように緑色の炎(焔) のように見えたからです。ゴッホの絵🖼は誇張(デフォルメ)だと思っていましたが、彼には本当にそう見えたのだということが解りました。ジィーと凝視していると5月の緑は爆発 しそうなぐらい生命力を湛えているからか、本当にメラメラと燃(萌)え出して見えるから不思議です。私たちを取り巻く状況は依然として厳しいものです。飲食業、販売業、観光業、航空や鉄道関係、フィットネスクラブやジム、エンターテイメント関連、アルバイトで学費と生活費を稼いでいた大学生(オンライン授業ばかりでの孤立感と孤独感に苛まれているメンタル面も忘れてはいけません!)、コロナ禍で減収となったすべての業種の非正規労働者、解雇や減収で経済的に大変に厳しい人もおられます。それから、風評被害(クラスターの事実の非公開は疫学上問題はあるが、事後それによって差別されることを考えると仕方が無いことのように思えます)や差別に苦しめられているひ人もおられます。それに関して、何か生半可な言葉を掛けることは無意味だ、と思われます(ジャン=ポール・サルトルはかつて飢えた子供の前では文学は無意味(無力)であると言いましたが、どの様な言葉も、かつてのTVドラマの幼いヒロインのように、同情するなら、カネ をくれ!、と言われるか、おまえなんかに俺の気持ちが、私の苦しみが理解できる筈は無い、怒鳴られてしまいそうです )。
が、それでもやっぱり、世界中に、日本🇯🇵のすべての地域(全県)に、そして、大阪のみんなに向けて、腹の底からの大声で、叫ばずにはいられません。(こんなただの言葉じゃ、焼け石に水かも知れないと思いつつも、それでもやっぱり)挫けないで、諦めないで、みんなで力を合わせて、全身全霊で精一杯頑張りましょう。ね!読者の皆様!!!🤗